医薬品営業の側面においては、昨今他社との効用比較なども原則禁止となり、ますます差別化が難しくなっている。一方で患者目線からするとインターネットやソーシャルメディアの普及により情報の収集・比較検討が容易に可能となっている。こうした変化を受けて、顧客からの信頼を獲得し長期的利益を得るために、製薬企業にとってはアドボカシー戦略がより重要となっている。今回当社は製薬会社におけるアドボカシー戦略の考え方について分析・整理を行った。今後のアドボカシー戦略の発展やアドボカシー戦略に関連した事業リーダーの皆様の一助となれば幸いである。
アドボカシー活動の目的とゴール設定
まず、対象領域において影響を与えたいステークホルダー、各ステークホルダーが対象領域や自社の商品・サービスに抱いている印象等を整理し、ステークホルダーと相互影響を理解する必要がある。この作業が、ステークホルダー別にゴールとする認知状態の整理、また各ステークホルダーの自社に対する意味合い・メリットの把握に繋がっていく。
発信情報とストーリーの検討
次に、ゴールとなる認知状態に向けて発信すべき情報・ストーリーを構築するために、①ステークホルダーの課題感の分析、②自社の持つ情報の整理、③他社の発信情報の調査を行う。具体的には、支援団体・患者団体の対象領域に対する不安感、情報収集手段、求めている情報の理解や、自社の技術・情報の棚卸、対象領域において他社がどのように情報発信をしているのかの把握が挙げられる。
目的に合わせた発信方法・施策の検討
情報の伝達性と発信力・カバレッジは伝達ツールごとに異なる。その際に伝達ツールや取り組み内容の優先順位設定や、ステークホルダーに対するエンゲージメントプランニングを行い、打ち出したいメッセージと伝達先の範囲に対して適切な施策を検討することが重要である。
成功事例:Bristol Myers Squib
アドボカシー活動に注力し、目的に応じた様々なチャネルにおける支援を行った結果、自社製剤への間接的な認知や理解、アドヒアランスの形成に成功している好例としてBristol Myers Squib社が挙げられる。Bristol Myers Squibはがん免疫療法についての特設サイトの運営、情報発信や啓蒙活動にリソースを投入し、がん関連の患者団体やアドボカシーグループと連携したイベントや情報発信を通して、世界各国において複数のガン関連患者団体、アドボカシーグループとのリレーションを構築している。また、支援内容は寄付、イベントスポンサー、患者団体ミーティングへの専門家の派遣、患者団体への講演会、出版やマーケティングサポート、募金活動と多岐にわたる。
弊社は消費財・小売におけるマーケティング知見・ブランディング知見を活用し、製薬領域におけるアドボカシー戦略のサポートも力を入れて行っております。興味を持たれた企業リーダー様、ご担当者様はお気軽にご相談いただければ幸いでございます。
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担当者:久保康博、樋笠克実