食品・飲料業界におけるEコマース戦略構築

May 13, 2021Digital

令和元年に経済産業省が行った「内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業 (電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoB、BtoCともに日本国内のEC化比率はまだまだ低く右肩上がりである。そして新型コロナウイルスの流行を受けて、ネット販売の需要増加が更に見込まれる。今回当社は食品・飲料業界におけるECチャネル活用戦略にフォーカスした分析・推計を行った。今後の食品・飲料業界におけるECチャネルの発展や食品・飲料業界における事業リーダーの皆様の一助となれば幸いである。

食品・飲料業界内のEC化比率は低いが漸増中

食品・飲料・酒類市場は総額で65兆円の規模であり、EC化比率は他の主要産業と比較して低いものの、割合は毎年漸増している。食品・飲料分野におけるEコマース売上はほとんどの場合小売企業によるEコマースであり、自社製造飲料メーカーで一定のEコマース売上を上げている企業はカゴメ、ネスレ(ブルックス)。

商品戦略:2種の勝ちパターン

現状食品・飲料のEコマースにおける勝ちパターンは、稀少性にフォーカスした「ニッチな問題解決」か、薄利多売でコスト競争が生じる「低価格コモディティ」のいずれかとなる。「ニッチな問題解決」の場合、ニーズに対して上手く訴求し、ブランディングを構築できれば、大手/中小問わず勝て、リピート率も高い。一方「低価格コモディティ」の場合、低マージンに耐えうる、資金力・生産量がある大手が勝ちやすい構造になっている。

販売戦略:導線設計とカスタマイズ対応

ポジショニング決定後は、ポジショニングに合わせた導線設計と、それに紐づく顧客情報を活用したカスタマイズ対応が販売戦略上重要となる。また販売戦略における検討論点としては、①マーケティング手法、②販売チャネル、③顧客情報、④顧客ケア、⑤小売卸対応が挙げられる。

成功事例:ファビウス「フルーツ青汁」

ファビウスは綿密な調査に基づく顧客ニーズを捉え①ターゲットを中高年ではなく若い女性に絞りこみ(顧客設定)、②飲みやすさの追求(商品の独自性)、③D2Cモデルの展開(導線設計)などに取り組んだ結果、青汁のポジショニングを変えることに成功。販売3年で年商100億円を達成した。大手でなくとも対象ターゲティングの明確化とそこへのカスタマイズ戦略を構築することでEコマースで成功した好例と言える。

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