TOP›コンサル業界トピックス›戦略ケース面接の評価基準とは – 例題を用いて評価基準の一部を解説 (中級編)
コンサルティングファームを志望する人にとって、戦略ケース面接の対策は非常に重要になります。ほとんどのコンサルティングファームの選考過程においては、ケース面接が課され、これを突破する力があるかないかが、内定できるか否かを決めると言っても過言ではないでしょう。
世の中にはケース面接の対策に関する様々な書籍や記事が書かれていますが、実際に面接における候補者の回答が及第点であることは稀であり、結果として合格率が低い厳しい試験だと認識されていることかと思います。
ではなぜ、そのような不十分な回答に至ってしまうことが多発するのでしょうか。多くの場合、書籍や記事ではケース面接での議論で用いられる議論の型やフレームワークについて解説していることがありますが、面接官の評価の目線での対策になっていないことが多いからです。
例えば、戦略フレームワーク一つとっても、ただフレームワークを使っていることが評価されるわけではなく、そのフレームワークをなぜ今使うべきなのか、それが論理的に説明されていることが重要になります。
ここでは面接官目線を知るために、一見皆さんが正しいと思う回答が、面接官からどのように評価されるのかについて解説していきます。
まず初めに、戦略ケース面接とは何かについて前提確認をしておきます。既にご存知の方も多いと思いますが、戦略ケース面接とは、実際にコンサルティング業務で扱う課題について、現役コンサルタントである面接官との議論を通じて企業戦略を立案する面接形式となります。
ここで問われていることは、いかに深くスピーディーに問題を解決に導くことができるかです。面接の形式やコンサルティングファームにもよりますが、準備時間なしで議論する場合もあるなど思考時間は非常にタイトです。そのような短い時間の中で、深く思考し筋のよいアウトプットを出せるかどうかが戦略ケース面接突破にはとても重要になります。
戦略ケース面接は、実際の業務で必要とされる力を見られるため、選考結果に最も大きく影響する難所であると言えるでしょう。
ここでは、よくある質問例と、それに対する受験者のありがちな回答例についてご紹介します。
ケース面接では以下のように、クライアントが企業の経営層、問いが企業の戦略に関する問題がよく出題されます。
【例題】
「とある牛丼チェーン店の社長から、『国内での売り上げ成長が鈍化している。中国進出を検討しているが進出すべきかどうか』という相談を受けた。戦略コンサルタントとして、どのように検討し、回答するか」
面接官からこのような問題が出題されたとして、あなたならどう考えるでしょうか。練習問題として、実際の面接で与えられる思考時間の3分前後で一度考えてみてください。
受験者のよくある回答は以下のようなものです。
【回答例】
「自社、競合、顧客の3つの観点で考えてみます。まず自社はXXXで、これを競合と比較すると…(略)」
この回答は、3C分析を用いてMECEに構造化して、各要素について検討した上で結論を導くという、よく見る解法であると言えるでしょう。
しかしながら、面接官の視点から見ると、全く評価できない回答であると言えます。
先ほどの回答例を解説する前に、一度フレームワーク利用の注意点をご説明します。
戦略ケースの対策においてよく言われることとして、フレームワークを使ってMECEに考えることが大事ということが挙げられます。これは決して間違ってはいませんが、フレームワークを使えばMECEに検討できると思い、闇雲に利用するのは面接官の評価を下げかねません。
フレームワークを適切に使えていない受験者は、とりあえず型を使えばよいと思っているのだろうと面接官に思われてしまう危険性があります。
戦略コンサルティングファームでは、そうした型に当てはめれば解ける仕事はほとんどありません。クライアントが考えてもわからない、難解な問題を解くことがコンサルタントの価値と言えるでしょう。そうした観点からも、ただ型を使って答えることが面接官の評価を得られないことは当然のことでしょう。
しかし、先ほど述べたように、フレームワークを使うこと自体がだめなわけではありません。適切に使えれば、非常に便利なツールとなります。
では、どのような使い方をすれば適切に使えていると判断されるのでしょうか。
それは、「フレームワークがなぜ今必要なのか」を明確にして使用するということです。この問いに対してフレームワークを使うことが、どういう風に役立つのかの筋道を予め立てた上で、フレームワークを意味のある文脈の中で使用した時のみ、適切に使えていると判断されるのです。
先ほどの回答例で出てきた3C分析は、上記ができていない、受験者がやりがちな最たる例と言えるでしょう。
3C分析はとても汎用性が高いものであるため、受験者も使ってしまいがちです。特に自社と競合を比較して、顧客に対して訴求するという方法はよく行われますが、これはさまざまな点における不足を招いてしまうこととなるでしょう。
先ほどの例に戻ってみると、以下のような不足点が挙げられます。
念のため、質問例と回答例を再掲します。
【例題】
「とある牛丼チェーン店の社長から、『国内での売り上げ成長が鈍化している。中国進出を検討しているが進出すべきかどうか』という相談を受けた。戦略コンサルタントとして、どのように検討し、回答するか」
【回答例】
「自社、競合、顧客の3つの観点で考えてみます。まず自社はXXXで、これを競合と比較すると…(略)」
この回答における不足点は大きく分けて二つあります。
一つ目は、この問題に対して3C分析が必要であるというロジックが見えないということが挙げられます。
今回の例であれば、問題は「中国進出をすべきか否か」であり、答えは「YES」か「NO」しかありません。回答例のような3C分析をして、どのようにこの「YES」か「NO」の答えにたどりつくかが不明確で、3C分析を行った結果、どのように問いに対する答えが導き出されるのかというロジックが見えません。
なんとなくフレームワークを使って構造化しているように見えますが、ケースに対して意味のある構造化をしなければ問題解決においては全く役立ちません。ケースの問いを起点とした問題解決ロジックを構造化し、正しくフレームワークを使う必要があるでしょう。
二つ目は、3C分析を用いて何を比較しようとしているのかが不明確な点が挙げられます。
自社と競合を比較して考えることは、戦略ケースに取り組む上でやりがちな例ですが、自社と競合の比較観点は無限にあります。
自社と競合の比較から始めてしまうと、永遠に比較を行うことができてしまうため、議論が収束しません。結果としてただ比較しただけになってしまい、問いに対する答えを出すために必要であった比較は何なのか、果たして比較は必要であったのかという論点を指摘されてしまいます。
今回の例でいえば、とある牛丼チェーンAの中国進出戦略の是非を判断するために、牛丼チェーンBと比べてこうだから、というロジックだけでは、なぜその比較観点に至ったのかの根拠がありません。ただ単にフレームワークを使って自社と競合を比較をすることだけでは、実際の顧客に当たるクライアントに大きな付加価値はなく、面接官にも評価されません。その比較を行う必然性の根拠を述べられるか否かが評価の分かれるポイントになります。
このような、評価されないフレームワークの使い方はほんの一例であり、実際には山ほどあります。
当社運営のSTRATEGY:BOOTCAMPでは、実際に戦略コンサルティングファームで面接官を行っていた講師チームによる経験の蓄積から、評価される戦略ケースの議論法を指導しています。
戦略ケース問題には数学のような「正しい答え」はありません。そのため、目指すべきゴールがわからず、ゴール設定を行わないまま闇雲に問題を解いてしまう受験生も多くいることでしょう。世の中にはケース面接にまつわる様々な書籍が出回っていますが、それらが示している解答はあくまで一例であり、ゴール設定をするにあたる明確な指標にはならないでしょう。
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