TOP›コンサル業界トピックス›戦略コンサルティングファームの 志望動機 の評価基準とは – 回答例を用いて評価基準の一部を解説
戦略コンサルティングファームの面接では、その他の業種の面接で行われるような 志望動機 や職務経験、または学生時代の経験やなどを問う面接に加えて、戦略ケース面接が行われるのが特徴です。
そのため、受験者の中には「志望動機は合否にあまり影響しないから、深く考えなくても問題ないだろう」と考える人も少なからずいるでしょう。
たしかに、戦略コンサルティングファームの面接では、戦略ケース面接の評価ウェイトが高く、志望動機自体の配点があまりないのは事実です。
しかしながら、志望動機の質疑を通じてロジカルシンキングの力がないのではないかと判断されてしまうと、戦略ケース面接の結果に影響を及ぼしてしまうこととなります。
志望動機は毎回の面接の冒頭で面接の導入として質問されることが多いですが、その際ロジックが通っていない、あるいは面接官の期待値を下げてしまう志望動機を伝えてしまうと、面接官に「この人はロジカルシンキングができない人だ」あるいは「あまり期待できないかもしれない」と面接の冒頭から判断されかねません。戦略ケース面接が始まる前にこうした印象を相手に抱かせてしまうことは、面接で評価される上で自身を不利な状況に置くことを意味するでしょう。
ここでは面接官目線を知るために、受験生のありがちな回答例が、面接官からどのように評価されるのかについて解説していきます。
戦略コンサルティングファームの面接において志望動機が問われた時、よく聞かれる質問は主に以下の2点です。
①なぜ戦略コンサルタントになりたいのか
②なぜこのファームに入りたいのか
この2点について、ありがちな回答例を解説していきます。
ここでは、戦略コンサルティングファームの新卒採用および転職で共通する、受験生にありがちな回答例についてご紹介します。
【質問例】
「志望動機を教えてください。」
【回答例】
「現職では、経営戦略に携わる機会が限定的であると感じ、より経営に近い仕事をしたいため次のキャリアとして戦略コンサルタントを志望しております・・・(略)・・・御社はXXに強みがあり、私自身のXXの強みを活かすことができると考え御社を志望しております。」
回答例のように、戦略コンサルタントの志望動機には「経営戦略に携わる」「経営に近い仕事」などのキーワードはよく用いられます。現職と比較した文脈で戦略コンサルタントの仕事を述べ、キャリアチェンジによって期待していることを示すといった論法は受験者によくある例と言えるでしょう。また、「なぜこのファームに入りたいのか」といった問いには、各戦略コンサルティングファームの強みを理解していることを示した上で、自分自身の強みを活かせるという主張をする受験者は多くいるでしょう。
しかし、この回答は面接官の視点から評価すると3つの不足点が挙げられます。
1つ目の不足点は、戦略コンサルタントになることがゴールになってしまっている点です。
回答例のように、経営や戦略に携わりたいという理由でコンサルタントを志望する人は多くいるでしょう。しかしながら、回答例では経営や戦略に携わりたいのはなぜかという理由が語られていません。経営や戦略はあくまで何かを成し遂げるための手段に過ぎず、それを通じて何を実現したい人物であるかを伝えることが重要になります。
その理由は、戦略コンサルタントになること自体がゴールになっている人は、入社してからの成長が鈍くなってしまう傾向にあるためです。戦略コンサルティングファームは、コンサルタントに対し、入社以降、継続的にかつ急速に成長することを求めています。面接では面接時点におけるスキルレベルだけではなく、将来の成長の可能性についても評価されています。
面接官の目線からすれば、コンサルタントになること以上に何か達成したい目標があることを含意した志望動機がより評価されることは明らかでしょう。
2つ目の不足点は、回答者の目標に対して、達成手段が戦略コンサルタントである必要性のロジックが不十分な点が挙げられます。
回答例では、「より経営に近い仕事をしたいため」に戦略コンサルタントを志望していると語られていますが、「経営に関わりたい」というレベルであれば、事業会社でも経営に関わる機会は得られるでしょう。コンサルタントはあくまで外部から経営に携わっている立場であり、当事者である経営層や経営企画部の方がより深く経営に関わっているとも言うこともできるでしょう。経営に関わりたいだけであれば、自分自身で会社を立ち上げたり、小規模な会社に経営層として参画する方が目標達成には近道かもしれません。「経営に関わりたい」という理由は、「戦略コンサルタント」でなければならないという理由には不十分であると言えるでしょう。
経営に携わる手段は複数あるものの、その中でも戦略コンサルタントでなければならないというロジックを示す必要があるでしょう。
3つ目の不足点は、自己認識が客観的であるかが不十分な点が挙げられます。
回答例では、「私自身のXXの強みを活かすことができると考え」という表現がされていましたが、なぜ強みを活かすことができるという考えに至ったのでしょうか。
そもそも経験したこともないコンサルティング業務において、自身の強みが通用するレベルかどうかはどのように判断したのでしょうか。この考えがどんな根拠に基づいているのかが、回答例では語られていません。この回答では主観的な認識に留まってしまっていますが、求められているのは客観的なファクトに基づいた回答です。多くの人はこの自己認識の考察が十分にできていないために、客観性が不十分な回答になってしまっています。
また、こうした考察が仮にできていたとしても、伝達方法に不足がある場合もあります。自分自身について深く考察し、相手に適切に伝達する力があるかどうかを面接官は見定めているのです。
その理由はコンサルタントの仕事が高い水準の考察力および伝達力を必要とするからです。コンサルタントの仕事は、ファクトに基づいた思考で戦略を練り上げ、それをクライアントに納得させ実行まで動かすことです。
自分自身のことすらも相手を納得させる客観的な考察や伝達ができないならば、コンサルタントに求められる深い考察力や十分な伝達力はないと判断されてしまうでしょう。
このように、戦略コンサルティングファームの選考においても、志望動機は直接的および間接的に合否に影響を及ぼす選考過程であることがご理解いただけましたでしょうか。
また、戦略コンサルティングファームの志望動機を考えることは、選考突破のみならず、ご自身にとってのキャリアの方向性を見定めるためにも当然重要になります。
当社運営のSTRATEGY:BOOTCAMPでは、実際に戦略コンサルティングファームで面接官を行っていた講師チームによる経験の蓄積から、戦略コンサルティングファームにおける志望動機の対策の指導もしています。
自分自身の志望動機が面接で及第点に達するのか、そもそも戦略コンサルティングファームへの就職・転職が自分自身の理想のキャリアに合致しているのかなど、選考に関して不安がある人は、是非お気軽に無料カウンセリングでご相談ください。
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